
世界にはさまざまな酢があります。でんぷんや糖分が含まれていれば全てその原料に出来るため、世界各地でその土地の風土や気候にあった農産物を原料とする伝統的な酢が造られています。その歴史はおよそ1万年。果実が自然にアルコール発酵して酒が生まれ、長い間保存していた酒の酸味が増し、さらにそこに菌が働いて酢になりました。
それを飲み物や酸味料として使用するようになったのが始まりといわれています。「酒があるところには必ず酢が生まれる」ため、世界各地ではなんと4000種類以上の酢が造られているのです。ここではその中でもよく知られている酢をいくつかご紹介しましょう。
例えば、ワインから出来たワインビネガー。フランス語のvinaigre(酢)は、vin(ワイン)+aigre(酸っぱい)を合わせた言葉。フランスで酢といえば、まさしくワインビネガーになります。また、フランスだけでなくワインの生産国では一般的に使用されています。
以前の日本の法律では、成分の細かな違いを商品に明記する必要がなかったので、色々な商品が出回り問題となっていましたが、そうしたことを受け、ついに1979年にJAS規格が制定され、醸造酢と合成酢の商品への表示が義務付けられました。 イタリアで代表的な酢といえば、バルサミコ酢。北イタリアのモデナ地方の白ぶどうを約5年~7年熟成させて造ります。バルサミコ酢は、最近では日本でも色々な料理に使用され人気があります。
ドイツやイギリス、アイルランドなどのビールが有名な国では、大麦の麦芽で糖化したモルトビネガーが造られています。その他、中国では香醋(こうず)、フィリピンではココナッツビネガー。中東や北アフリカでは、デーツ(ナツメヤシ)から造られるデーツビネガー。 このように、酢はその国の「酒文化」と密接に関係し、その国の食文化を象徴する重要な調味料でもあるともいえます。