
黒酢の郷として知られる鹿児島県霧島市福山町は、鹿児島湾の一番奥に位置する人口7500人弱の小さな町です。桜島の北東に位置し、錦江湾の大海原と桜島の火山灰によるシラス台地の急斜面に囲まれ平坦な地盤が少ない地域ですが、とても風光明媚なところです。
火山灰の影響も少なく、年間の平均気温が18.7度と鹿児島市よりも暖かく、適度な湿度も維持されているため、黒酢を造るには最適な環境です。黒酢を造る場所は、蔵でも工場でもない「壺畑」。テレビなどでこの光景を一度は目にした方も多いのではないでしょうか。
黒酢が別名「壺酢」と呼ばれる由縁です。そして、発酵に適した気温、太陽光を一身に浴びることが出来る壺畑の壺には、黒酢造りには欠かせない微生物が住みついています。 また、シラス台地から出る良質な地下水。福山町は昔から鹿児島県の中でも名水として有名な場所でした。水量も豊富なので、壺畑のあちらこちらで地下水の蛇口が見られます。
もともとは商業港として栄えていた福山地方。鹿児島県の中でも指折りの港町でした。商業港だったからこそ黒酢造りには欠かせない壺を容易に手に入れることが出来たのと同時に、薩摩藩時代に藩への上納米の集散地が福山地方だったため、その原料である米も自然に集まってきました。
恵まれた温暖な気候、良質な地下水、豊富な米、薩摩焼の壺、これらいくつもの条件が揃った福山町だからこそ黒酢は生まれ、世界にさえ誇れる酢となったのです。